平成13年度3次隊 環境教育 ジャワ島チアンジュール(CIANJUR) |
標高2,750mエーデル・ワイスの咲く高原で調査を行う。
調査中の発光性キノコの一種、新観光資源(Anaphalis javanica)として期待される。
任地:西ジャワ州 グデ・パンランゴ国立公園
国立公園管理事務所のある、チボダスを中心に国立公園区域内での活動、公園周辺地域の学校、若者を対象とした環境教育の啓蒙活動を行っています。
グデ・パンランゴ国立公園(以下GPNP)はジャカルタ、バンドン、ボゴールの都市近郊に位置し、名前の由来でもあるグデ山(2,958m)パンランゴ山(3,019m)の2峰を有し、登山者を中心に年間約6万人の来訪者があります。しかしながら、その多くの来訪者のもたらす自然環境へのプレッシャー、違法伐採・採集、ゴミ問題などが大きな課題となっています。そこで、自然環境教育のアプローチにより、来訪者・周辺地域住民の国立公園を含めた自然環境の認識・理解、または保全活動の実施を目的としています。
ここチボダスは標高1,300mに位置し、年間を通し涼しく(寒い?)非常に過ごしやすい気候です。周辺を森と畑に囲まれたのどかな土地ですが、週末には避暑地として、都市部からの多くの観光客で賑わい、沿道には露店・お土産物屋がならび活気に溢れます。言語は主に土地の言葉である「スンダ語」が使われ、名産はチアンジュール米と色白のスンダ女性です。
GPNPには、絶滅が危惧されるジャワクマタカ(Spizaetus bartelsii)、ヒョウ(Panthera pardus)、アンジンフータン(Cuon alpinus)等多くの野生生物が生息し、植物についても多くの種は保護措置がとられています。また1,000-3,019mまでの3つの垂直分布に分かれ、熱帯気候にありながらユニークな植生分布が存在します。
現在までに公園内で7種の発光性キノコを発見し、人工栽培を試みています。インドネシア国内ではキノコの研究者が少なく、ほとんどのキノコに名前もついていません。現在はインドネシア科学院(LIPI)に同定を依頼していますが、新種の可能性が高く、今後、新観光資源・環境教育教材として期待されています。
当国立公園はインドネシアの42国立公園(2003年現在)の中でも最も地理的条件に恵まれ、観光資源のポテンシャル、環境教育・保全活動に適した国立公園であろう。
インドネシアの国立公園内では現在もなお、人為的な行為により熱帯林が急速なスピードで消失している。本当に守らないといけないもの、援助していかなければならないものは何か?もちろんその破壊が暴力的に進行しているカリマンタンやスマトラの国立公園(熱帯林)であろう。しかし、当公園の高いポテンシャルをもって環境教育を継続的に行うことによりインドネシア全土に環境教育・環境保全を普及できる可能性は高く、いつの日かインドネシア全土に環境への理解が定着することを心から願う。