ごみ銀行(Bank Sampah)と環境教育 |
私は今パレンバン(スマトラ島南スマトラ州の州都)市役所の環境事務所で働いています。現在、インドネシア国内では「ごみ銀行」というのを推奨しています。私は、このごみ銀行でも、環境活動をしていたりします。日本のゴミについてのお話をしたり、リサイクル工作(端切れ布や使い古しのTシャツから作る布草履、古新聞から作るエコバックなど)を教えたりしています。
▲雑誌から作られたネックレス
では、ごみ銀行って何でしょうか?日本語で聞くと、想像できないと思いますが、インドネシア語でも「Bank Sampah」 といって、BANK(銀行)、SAMPAH(ごみ)という意味なんです。
これは聞くところによると、インドネシア・ジョグジャカルタの大学教授が考えた仕組みだということで、それを全国に普及させているとのことです。それではごみ銀行とはどういう仕組みなのでしょうか?
▲買い物袋からつくられた花
この仕組みを聞くと、なぜごみ銀行という名前なのか、納得できるかもしれません。これはだれが運営しているのかというと、地域の有志、しかも意識の高い人たちが運営しています。そしてその場所ではごみが集められています。売れるごみという言い方がこの場合は適切かもしれません。住民の人は売れるごみを持って、ごみ銀行を訪れます。もしここが(リサイクルショップのような)お店だったら、きっとそのごみを売ってお金に換金するだけで終わっていたでしょう。しかし、ここでは、直接お金にするのではなく、通帳(のようなもの)に記帳して貯めていくことができるのです。そしてその方が利息が高い(つまり高く売れる)ので、すぐに換金せずに継続して持っていくモチベーションにもなっていくのです。
これが銀行たる所以でもあり、このようにすることで継続してごみを分別したりリサイクルしたりする意識が高まることを期待して作られたと言われています。
実際に、こういった仕組みとして機能しているところはあるかというと、全国2000か所くらいある(らしい)です。その数がごみ銀行の中でどれくらいなのかはわかりません。リサイクルグッズを展示しているだけになっていたり、作りかけのコンポストが放置されていたりと実態は様々なようですが、日本にはない仕組みなので、とても興味深いと思います。
▲食品の袋から作られたバッグとジャケットカバー
私が活動先として時々訪れているパレンバン市内のごみ銀行もリサイクルグッズをたくさん作っています。そして、そこのごみ銀行はそのリサイクルグッズが注目されていて、市内外からワークショップの講師として呼ばれていたり、市の行事で使うリサイクル袋の予約が入ったりと大忙しです。
最近は、私たちがワークショップで行った、「Simple Paper Made」製法で作った紙を商品タグにしたり、袋にしたりと付加価値をつけることもしています。商品に価値をつけるという発想は、私のアイデアが盛り込まれていて、少しは貢献できてるかな、と自負しています。
▲段ボールから作った紙をつけて付加価値をつけた商品
私も、ごみ銀行のお母さんたちが作ったバックなどを購入して、友人にプレゼントをしたりと、自分が買いたいと思うような商品を一緒に開発したりして環境という枠組みを超えたアイデア出しも行っています。パレンバンに来た時にはぜひ、お立ち寄りください。
パレンバン観光編はこちら→(前編)、(後編)