平成22年度3次隊(環境教育) 最終号 <前編> |
1.初動―プロジェクトサイトの選定―
私は、もともと集合行為やCommunity Developmentの成功要因を研究していた為、国立公園周辺の村落開発、及び村落で環境教育を実践したいと考えていた。折しも、インドネシア林業省は、国立公園周辺の村落開発に力を入れている為、隊員として村落で活動することは、任国のニーズとも合致していた。
配属当初から、私は村落開発に力を入れている村を回った。特に、Adopsi Pohonプログラムが実施されている村を訪問して回った。Adopsi Pohonとは、民間の資金を活用した植樹プログラムで、植樹資金の一部を村落開発に回して、植林と周辺村落の生活向上を同時に目指すプログラムである。配属先が最も力を入れている業務のひとつだ。
私は、サロンゲという村を訪問した。配属先が植樹を実施し、かつ村人にウサギの飼育方法を教え、販売することで当該村落の所得向上を目指していた。私は、この村で活動しようと決めた。村にはコミュニティラジオがある為、ラジオに出演し活動紹介することで、少しずつ隊員としてのプレゼンスを高めて行った。そして、同僚とともに活動計画を策定し、断食明けの2011年9月から本格的に支援を開始する予定を組んだ。
2.プロジェクトサイト変更!
断食明けの2011年9月、活動の方向性を大きく変える出会いが私を待ち受けていた。私は上司の引き合いでNGO代表のニナさんと会った。彼女は、ボゴール近郊の村落で小さなNGOを組織し、環境教育に取り組んでいる。当該村落は、当国立公園周辺に位置する為、支援を求めにわざわざ公園管理事務所までやってきたのだ。「チサロパ村のゴミ問題解決と環境教育の為に力を貸して欲しい」との要望を受け、私はチサロパ村を訪問することにした。彼女の情熱に背中を押された。
3.ゼロから出直し
2011年9月、私は初めてチサロパ村に出向いた。NGOのニナさん宅でNGOの活動内容と婦人(Ibu-ibu)たちを紹介してもらった。村での活動は人間関係の構築が大切だ。私は、2011年9月から10月にかけて、毎週寝袋を持ってチサロパ村に向かい、村人の家にホームステイさせてもらった。朝から夕方まで村人たちと話し、村内にある小学校に出向き、子供たちと遊び……そんなふうにして人間関係を構築していった。
いきなり外国人がやってきて何かやろうとしても無理がある。まずは、村人とのコミュニケーションを通じて信頼関係を醸成することが大切だ。出されたものは食べる。これが基本。たとえ腹を壊したとしても、出されたものは飲む。これが基本。こういう基礎的な基盤がない限り、協力隊員の業務は成り立たないと私は思う。