本当のニーズを探して |
この学校外教育現場では、幼少期に費用や時間が無くて学校に行けなかった方や途中で辞めてしまった方、結婚を機に学習を止めてしまった女性、収入を得るために必要な技術を学びたい方等が学習に参加しています。また、基本的な生活習慣を身につけるための幼少期教育(日本の保育園や幼稚園)に参加する子どもたちが学ぶ現場も学校外教育に含まれます。この様に、基本的な生活習慣を身につけたい、文字や数字の読み書きができるようになりたいという参加者から高校卒業相当の資格を取りたい、自分でお店を開いて収入を得たいと思う方まで参加者は様々です。
県内には約16の地域学習活動センター(以下:学習センター)があり、参加者はそこで学習します。しかし、地域によっては交通手段が確保できず学習センターへ行けない参加者もいるため、徒歩で移動できる範囲内で人が多く集まれるお家を持った方が学習スペースを提供するなど、地域や参加者の特性に応じた学習スタイルがとられています。学習のペースは各学習センターにより様々ですが、一週間に3回程、昼過ぎから夕方まで行われるのが標準です。
任地では、教育があまり重要視されていないのが現状であり、いざ仕事に就きたいと思ったときに最終学歴が壁となり、そこで学校教育の重要性に初めて気付き、学校外教育に参加する方が多いのが現状です。こういった方々は、既にアルバイトや任期付きの職に就いていることが多く、彼らの勤務時間や主婦の方々の家事の時間を考慮し、昼過ぎから夕方までが学習時間となっているのです。
現在私は、学習現場を巡回見学し、現状の把握を主な活動としています。活動する上で、直接学習参加者の声を聞くことが大切と考えています。巡回する中で、参加者と世間話をしながら現状を探ったり、時には学習に関して問題に思っていることなどを直接参加者に伺い、解決策を一緒に考えたりしています。
現状の一例としては、先述のように、参加者の多くはアルバイト等をしているケースが多いのですが、勤務先の上長から、学習に参加するための休暇を認めてもらえず、学習に参加できない人が多いのです。学習期間の最後には卒業試験があり、合格して初めて卒業資格が得られるのですから、学習に参加できない事はとても不利なのです。こういった内容に関して現地の方と対策を考えるような活動をしています。
上記の例以外にも、時には理解が難しい状況に出くわすこともあります。本当に有効な学習ができるのだろうかと心配になるような状況です。しかし、任地には任地の文化があり、日本人の私がいくら「問題」と思っても、参加者にとってはもっと他に大切な事があるケースも考えられるため、彼らにとってのニーズ(「こうなったらもっと良いのに」という問題点・改善点等)がなんであるか、慎重に地元住民の方々の意見も聞きながら活動しています。
巡回をしていると、たくさんの現地の方と出会います。現地の伝統的な料理やお菓子でもてなしてくださり、日本についていろいろ質問してくださいます。
異国で異文化の中で暮らす異国人にとっては、そういった心遣いがとても温かく、活動の力ともなっています。
巡回活動の他にも、日本の紹介や、その時々に見つけたニーズから思いついた些細なアイデアを提案して実行したりしています。
派遣期間はまだまだありますので、焦らず、自分ができること、協力隊だから見つけられる小さなニーズに対応していける活動をしていけたらと思っています。